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タンチョウの一年
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121-012-010 タンチョウ写真 たん-ちょう【丹頂】
 最も代表的な大形の美しいツル
羽毛は主として純白色。頭上には裸出した赤色部があり、頬・喉は黒色。
尾に見誤られる黒色の羽毛は風切羽の一部で真の尾羽は白色。
中国東北部・朝鮮に産し、日本にも多かったが、現在では、北海道釧路地方の草原で少数繁殖し、特別天然記念物。タンチョウヅル。                                   広辞苑より抜粋
昭和10年8月27日/天然記念物に指定
昭和27年3月29日/特別天然記念物に指定
121-012-010 給餌はこうして始まった
 それは、昭和27年(1952)のことでした。
冷害凶作で人間自身が食べるのに精一杯の日が続いていた昭和27年の12月、零下30度を超すシバレで身も凍てつくような朝、登校途中の子どもたちが雪におおわれたデントコーン畑に親子連れ3羽のタンチョウがうずくまっているのを発見しました。
 学校の朝礼でその話を知った新井田準次郎校長は子どもたちと一緒になって農家からデントコーンなどの餌を集め計画的に給餌を始めたのが、積極的なタンチョウ保護の始まりでした。

 その後、昭和37年に下雪裡小学校の武藤良治校長がタンチョウの餌不足を補いながら農作物の被害をふせぐと共に、この保護活動を通して児童の野鳥に対する関心を深めようと教育活動のひとつとして取り組んだことが、この活動を村内に広め、村ぐるみの保護活動のきっかけとなりました。 
121-012-010 タンチョウ写真01
121-012-010 タンチョウ写真02  タンチョウは昭和27年(1952)に国の特別天然記念物に指定され北海道教育委員会がその管理にあたっていたことが幸いして年々その数を増し絶滅の危機を脱することが出来たといえます。
保護の成果を確認する毎年行われる「生息一斉調査」も釧路管内の小中学校の協力なしには出来ませんでした。

これら直接タンチョウの保護活動を身につけた子供たちが成人して今日につながっているだけに村民のタンチョウに寄せる思いは格別で「鶴が居るから鶴居村」を肌で感じ保護活動が村の誇りとして村名とともに代々引き継がれて行くに違いないと信じています。
121-012-010 タンチョウのしくみ
 ツルは全長約90〜150cmの大型の鳥で、頭と足が長く羽の色は雌雄同じか、またはよく似ていて
メスはオスよりやや小型です。
 分類上サギに近い鳥とされたこともありましたが、現在は 鳥綱ツル目ツル科に属します。
世界には15種のツルが生息しています。日本では秋になるとたくさんのマナヅル、ナベヅルのほか、
クロヅルやアネハヅルが九州の出水や山口の熊毛町などに渡って越冬します。 
 しかし、日本で繁殖するのはタンチョウだけです。
121-012-010 タンチョウ写真04
121-012-010 タンチョウ写真05  タンチョウの鳴き合いは、1〜2kmもはなれたところまで聞こえるほど大きな声です。
このよく透る声の秘密は、タンチョウのもつ長い気管がラッパのような役割を果たしているからです。
 気管の長さは120cmくらいもあり、長い首にそって伸びたものが胸骨の中でさらに
一巻して収まっています。
121-012-010 タンチョウの成長
121-012-010 タンチョウ写真06
 3月になると湿原の繁殖場所に戻り、つがいは鳴き合いや踊りで絆を確かめ合います。
 
 4月に交尾が盛んになり、1〜2個の卵を産み雌雄交代で抱卵します。

 春の終わりから初夏にかけて誕生の季節を迎え、体長約13cm、体重約130gのヒナが生まれます。
 
 成長の早い時期には毎日2cmくらいずつ成長し、約3ヶ月で親とほぼ同じ大きさになります。
121-012-010 タンチョウ写真07
121-012-010 タンチョウ写真08
 湿原が黄金色になるころ、無事成長した幼鳥を連れ家族は繁殖地をあとにし、越冬地へ現れるようになります。

 越冬地についた家族やつがいは、餌のたくさんある場所を採餌のための縄張りにします。

 12月になると大きな集団をつくります。冬が進むにつれ餌のとれる所は給餌場やその近くの河川の凍らないところに限られてきます。

 凍らない水辺はねぐらとしても重要でタンチョウは浅瀬に立って眠ります。

 こうして成長した幼鳥はやがて親に排除されるか、給餌場に置き去りにされ、親子は別れることになります。
121-012-010 タンチョウ写真09
121-012-010 タンチョウを愛し続ける人たち
121-012-010 渡辺トメさん写真
渡部 トメさん
鶴居村のタンチョウの飛来地としてよく知られている鶴見台。
冬季間には150羽ほどのタンチョウが訪れます。

この鶴見台で給餌を続けるのが、渡部トメさん。
タンチョウを愛しつづける人です。

 初めてタンチョウと出逢ったのは昭和37年の冬のことでした。
昭和37年に当時の下雪裡小学校でタンチョウの給餌活動をはじめたのをきっかけに隣接する渡部義明さんの畑にもタンチョウが飛来するようになりました。

 渡部さんは妻のトメさんとともに子どもたちといっしょに給餌を続けてきましたが、昭和49年に下雪裡小学校が廃校となってしまいました。
 
 その後も、子どもたちの願いを引き継いで渡部さん夫妻は我が子を慈しむようにタンチョウを愛しタンチョウとともに鶴見台に生きがいある毎日を送っています。
 その偉業が認められ数多くの表彰を受けていますが、平成11年の秋の叙勲で義明さんがさの功績をたたえられ国から栄誉ある勲七等瑞宝章を、平成13年に妻のトメさんが勲六等瑞宝章を授賞しました。
121-012-010 伊藤良孝さん写真
伊藤 良孝さん(故人)

鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの伊藤良孝さん。(故人)
タンチョウを愛しつづけた人です。

 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリは、昭和62年(1987)に、それまで30年の長きにわたりタンチョウを愛し給餌活動を続けて来られた伊藤良孝さん(故人)ご夫妻の厚意によって財団法人゛日本野鳥の会」が給餌場を含めた13ヘクタールの土地の提供を受けました。

 給餌活動を引き継ぎ保護活動を続けると共に、専門的な調査研究活動、普及教育活動、管理運営活動を計画的継続的に行ってきていて、その実績を元にして野鳥の生息地を広げ多くのボランティアとともに貴重な自然の保護活動を続けています。

 そして、平成8年7月1日、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリが「残したい日本の音風景100選」に認定されました。また、平成12年11月11日に伊藤良孝氏を偲ぶ会が開催され、生前の偉業と故人を偲びました。

もっと詳しく知りたい方は、「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」のホームページへどうぞ。




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